食品衛生法改正によるPL制度化進捗及び海洋プラ問題セミナー

2020年10月12日(月)、DICグラフィックス㈱会議室において、日本包装専士会・西秀樹様を講師にお招きし、食品衛生法改正によるPL制度化と海洋プラスチック問題の最新動向をテーマにご講義頂きました。今回は、新型コロナウィルスの影響により、多くの人数を集めることが困難な環境下であった為、感染防止対策も含め、ウェブを活用した『ウェビナー方式』を採用しました。

開催の挨拶

 世間の動向では2020年6月1日に食品衛生法が改正されたこと、また、環境面では依然として海洋プラスチック問題が取り沙汰されており、その流れでレジ袋も有料に切り替わりました。これらの背景も含め社会情勢を把握するために、本セミナーを開催するに至った旨を阿部部長から説明がありました。

セミナー内容

食品法改正とPL制度化

 人々の健康を守る為に1947年(昭和22年)に食品衛生法(法律233号)が制定され、16条にて有毒器具等の販売禁止(紙でもフィルムでも抵触NG)、18条にて器具及び容器包装(紙は適用されない)の規格・基準を定め、これらに3項を追加しPLが規定された。

食品衛生法規制の内容

 2020年6月1日に『乳及び乳製品成分規格に関する省令』(昭和26年12月27日、厚生省令52号)が『食品・添加物等の規格基準』(昭和34年12月28日、厚生省告示第370号)と統合に至り、現状の安全基準は厚労省告示の第370号を中心に国際整合化が求められ、化学物質の規制強化は着実に進んでいる。

PL制度の進捗状況

 4つのPLとして、ポリマー(全4100物質)が対象となる。4種とは、プラスチック、コーティング樹脂、微量モノマー(2%以下の含有量)、添加剤等が挙げられる。『安心と安全』を守るためには、HACCPの普及向上、及びGMPとPLの導入が必須になる。PLはEU規則が世界標準に定着したが、日本国内では、食品衛生法改正の告示時点で完全なPL化は進んでおらず、5年の経過措置期間を設けられた。この結果から、日本では浸透が遅く国際的には後追い組に属している事が明確になった。経過措置期間である5年間は、PL不適合品も使用出来るが、信頼問題にかかわってくるため、PL適合化に加え、印刷インキ、接着剤、紙、再生プラスチック等、基準作りを早急に進めることが重要である。

海洋プラスチック問題の最新動向

 不適正処理をされた海洋プラスチックは現状世界30位、リサイクルに関しては焼却エネルギー回収率を現状の19%から、さらに上げることが課題である。その一方で、容器リサイクルは独自の回収・再利用システムを確立しつつあり、他国と比較してもかなり進んでいる。その背景としてサントリー、キリン、伊藤園、コカコーラ等では再生PET樹脂を100%使用している。また、産業界を中心に設立した『Japan Clean Ocean Material Alliance(略称:CLOMA)』にて、2020年5月にアクションプランが公表され、2050年までに容器包装等のプラスチック製品の100%リサイクル化を目指すことを打ち立てた。この動きは、生分解性プラスチック、軟包装複合材料の単一素材化、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの研究を進め、『捨てる文化』から『再利用の文化』の重要性を示している。

セミナーを通じて

 講義開始と同時に、会場の雰囲気は一気に西先生の色に染まり、熱のこもった言葉には大きな説得力を感じました。講義を通じて、PL制度化では国内は海外勢と比較すると、基準作り等に大きな課題を抱えていること、また、海洋プラスチックに関しては、『捨てる文化』から『再利用の文化』への転換へ進んでいくことの重要さを意識付けられた素晴らしい講義でした。

 インターネットを介したことにより、画面の切替え時と言葉にズレがあり、一部不便さが感じられた部分はあったと思いますが、今後の『ニューノーマル』の社会に向け、青年部としては積極的にデジタル化を取り入れた活動を行っていきたいと思っております。

 最後になりますが、この度はご多忙の中ご講義下さいました西先生に深くお礼申し上げます。また、本文をお読みいただいている皆様のお力添えを頂きながら青年部一同はグラビア印刷業界の発展に尽力して参りますので、今後ともご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。

報告者:関東グラビア協同組合青年部 ㈱ニレコ 谷口 征也

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